馬革の種類(ホースハイド・ホースバット・コードバン)
馬革① ホースハイド
上の写真のマーカー部分の皮がホースハイドに用いられる箇所。
ホースハイドは、馬の運動量の多さから傷が多いです。一方、通気性に優れており、靴のライニング(靴の内側)に用いられることがあります。
フライトジャケットやライダースジャケットなどにはホースハイドが用いられるアイテムも多く、1930年代によく使われたと言われてます。
なめし方にもよりますが、水や摩擦には強くないです。
以下のようなライダースジャケットが有名です。
馬革② ホースバット
ホースバットは臀部を含めた腰辺り後ろの分厚い革ができる部位を指します。
ホースバットのブーツは牛革のように細かい皴が入らず、モコっと大きく波打つ皴が入ることもあるが、コードバン層が含まれる場合にそのような皴が入るようです。ホースバットのブーツはトラ模様が入ることもありマニアにはたまらないとか。ホースバットのワークブーツは人気が高いです。
馬革③ コードバン
馬の臀部の皮下には靭帯のような細かい繊維組織を持つ層があり、この層を取り出して革にしたものがコードバン。
臀部の革を少しずつ削ってコードバン層を取り出し、その後グレージングと呼ばれる磨きを加えて、独特の艶のある革にします。1頭の馬から僅かしか取れないため希少性が高く貴重な革です。革の宝石とも言われています。
コードバンは、繊維層の起毛を寝かして鞣すことにより光沢が出ているのです。これを知っておけば、ケア方法も納得しながら学べると思います。
きめ細かくコードヴァンにしか表現できない美しい艶が魅力です。また、履きじわがモッコリするので、うっとりしたフォルムになります。一方で、水シミになりやすい素材なので雨などには注意が必要です。
ALDENのワークブーツが欲しいっす。
(参考)「皮」が「革」になるまでの過程 – 鞣し(なめし)とは
「革」は、動物の皮を加工することにより作られます。
①畜産業者:愛情をもって動物が育てられます。
↓(動物)
②食肉業者:動物の原皮は主に食用肉のとして利用された後の副産物。肉・内臓・皮に分けられる。
↓(原皮)
③輸入業者、問屋など:食肉業者とタンナーとのつなぎ役
↓(原皮)
④タンナー(なめし業者):鞣しの工程を経て革になる。
↓(革)
⑤靴製造業者:革を用いて靴を製作する。
豚以外の革は、ほぼ全て原皮の状態で海外から輸入しているそうです。円安になれば国産靴であっても値段が高くなってしまうのは仕方ないですね。
鞣し(なめし)についても学んでいきましょう。
鞣しの作業は、大まかに言えば、①洗浄、②なめし液の漬け込み、着色など、③塗装や表面加工など、に分けられます。
鞣しの方法は以下の3つの手法が主流です。
・タンニン鞣し:植物の渋からタンニン液を抽出し、これに漬け込む皮のコラーゲンとタンニンの成分が融合して組織が安定して皮が柔らくなる。数か月漬け込むため時間がかかるが、自然な風合いの革に仕上がる。靴では主に底材として使われる。
・クロム鞣し:クロム化合物を用いる手法。短時間で大量に生産できる。タンニン鞣しよりも柔軟性、伸縮性、弾力性に優れた革にすることが可能。靴では主にアッパーとして使われる。
・コンビ鞣し:タンニン鞣しとクロム鞣しの両方の手法を使う方法。クロム鞣しによる環境問題への配慮から、これからの主流になると言われている。
コードバン靴・小物のケア方法
基本的には牛革の靴・小物と同じですが、起毛したコードバンを寝かす作業があること、豚毛ブラシではなく馬毛ブラシでクリームのブラッシングをした方が良い点が異なります。
①汚れ落とし。革靴には以下のローションを布切れに少量付けて汚れを落とします。
②デリケートクリームを指で塗ります。⇒ 馬毛ブラシでブラッシング
③コードバンクリームを指で塗ります。 ⇒ 馬毛ブラシでブラッシング&かっさ棒で押し込む
ブラッシングとかっさ棒の作業を数回繰り返すのがポイントです。
tsutaya1984が保有するコードバンアイテム
①ALDEN986
②ALDEN990
③Heinrich Dinkelacker(通常購入品ではなく、ディンケがクラウドファンディングした際の返礼品です。)
④GANZOの財布
コードバン靴のコーディネート
美しい艶が魅力のコードバン。大人っぽいコーデだけでなく、カジュアルにもマッチしやすいです。
最後まで閲覧いただきありがとうございました。
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